関東も梅雨明けした週末、民家再生協会で江戸からかみの見学会がありました。
場所は上野の「東京松屋」さん。西は京都の「唐長」ならば、東は「松屋」。
西から入ってきたものなので、「唐長」と似た柄も多数あり、正直なところ「京からかみ」と「江戸からかみ」の違いって?と思っていました。
もともと、からかみは中国から伝来した模様のある紋唐紙(もんからかみ)をお手本にして、平安時代に国産化したもの。版木の文様を和紙に写し取る、木版摺り師は「唐紙師」と呼ばれ、伝統の技術を今に伝えています。
江戸と京都の違いは、和紙に色粉を乗せる際に使用する糊。京のひめのりという「でんぷん糊」に対して、江戸は「こんにゃく糊」。
そして版木のサイズ。
江戸の大火や関東大震災、そして東京大空襲などで度々版木を燃やされてしまっている江戸からかみは、小さな版木から襖に貼りやすい幅広の版木へと移行していきます。それまでのからかみは1枚の襖に12枚のからかみを貼らなければいけなかったのですが、幅広になったため大判を摺る事が可能に!そして幅が広い分、文様も大きく、おおらかな柄が増えたとか。
そして私はてっきり、普通の木版画のようにバレンでこするのだと思っていましたが、なんと!手摺りなんだそう。
和紙に文様を手で写し取る、まさに手仕事。
5代目江戸ッ子の唐紙師、「小泉幸雄」さんに実演していただき感激しきり。手でする直前に、ご自分の頬を撫で手の湿度を調整する姿も、日々の仕事を感じるものでした。
今回の予定にはなかった、「ワークショップ」。小泉さんの粋な計らいで天保11年の版木を使用し、からかみ師体験をさせていただきました!
もう、ワクワク。胸躍る至福の時間♪
そっと押えるように摺っていくと、和紙に松の文様が写し取られていきます。
使わせていただいた版木は、浜離宮に昨年復元された「松の御茶屋」内でも使用されており、翌日は松の御茶屋見学で同じ版木を使用した唐紙の壁も拝見してきました。(この話はまた後日)
からかみは襖での利用とばかり思っていたのですが、壁紙のようにも使用できるのでアイデア次第で使い方の幅も拡がります。和好きなお客さまに出会う事があれば、是非提案したい素材です。
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