女性建築士のパッシブな家づくり~スピカ建築工房~

古民家再生の耐震_ナラノキのいえ

お天気が1日置きに変化する今日この頃。

少しひんやりした日曜日に、ナラノキのいえのお引渡しがありました。

江戸時代に建てられ、関東大震災もくぐり抜けてきたナラノキのいえ。

東日本大震災から9年目の今日は、

ナラノキのいえの耐震に対する考え方をお伝えしようと思います。

 

在来の軸組工法と古民家では、耐震の考え方が違う?

よく伝統構法は貫(柱と柱の間に水平に入る材のコト)があり、

足元(柱の下)が石場建てで固定されていなく免震構造のようになっているため、強い、、、、

という記述を見かけるのですが、地震で柱が石の基礎から落ちてしまえば、

構造躯体は破壊されます。

そのため、在来工法でも伝統構法でも基本的に柱脚の固定は行うべき、、、と

考えています。

ナラノキのいえは、大引や根太などの基礎近くの材が、

ほとんど使用できないレベルで傷んでしまっていたため、基礎を遣り替え、

土台を敷いて金物で固定しました。↓

 

 

また、貫は使用していますが、構造上必要な箇所にはOSB合板を用いて

耐力壁も設けています。

貫と構造用合板は、地震の際には壊れる速度が違うため、

Wで使用する事は建物としては有利になると考えての事。

建物は偏心率というものを見て、バランス良く耐力壁を配置しています。

(硬い壁がたくさん入っていれば良い訳ではないのです)

 

ここで偏心率って何?

と、思われると思うのですが、、、、

建物の重心(建物の平面形状の中心)と、建物の剛心(水平力に抵抗する力の中心)の

ねじり抵抗に対する割合になります。

偏心率は0.3以下と決められており、スピカやサンカクスケールLLPで設計する際は

極力0.15以下になるよう努力しています。

↓ この赤丸の距離が小さい方が、地震力で変形を受けにくく=壊れにくい建物となります。

 

 

↑ これは別の物件の計算書のものですが、

ナラノキのいえも、こうやって偏心率を重視して設計しています。

 

江戸時代から175年、ここに在り続けた建物を

ここから更に100年以上永らえるためには、お化粧だけでなく、、、

耐震補強をしっかりと施し、温熱環境も整えながら、

現代の生活に合うよう、減築しながら暮らしやすい間取りとし、

心地良い空間に生まれ変わりました。

 

 

お引渡しの日に、床暖の効いた室内で施主のOさん達が

ほっこりされていたのが印象的です。

 

昨日はカメラマンのHさんに竣工写真を撮影してもらいましたので、

データが届いたら引き続きUPしたいと思います。

途中、いいひさんも足を運んでくれ、、、、

写真上手ないいひさんも少し撮影してくれていたので、、、、

いいひさんの写真も見れる、、、かな?(๑˃̵ᴗ˂̵)و

 

東北の震災から9年。

まだ行方不明の方もいらっしゃり、完全な復興とは言えないのだと思います。

亡くなられた方々のご冥福を祈ると共に、

残された人々の生活に多くの希望がありますよう。

 

そして私たちもいつか来るかもしれない災害を正しく恐れて

備える暮らしをしましょうね。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

皆さまにとって、住まいが心地よい場所でありますよう。

 

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