女性建築士のパッシブな家づくり~スピカ建築工房~

家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない(ル・コルビュジエの言葉)_映画人生フルーツ

家は暮らし(生活)の宝石箱でなくてはいけない。_建築家ル・コルビュジエ

昨日はいいひさんを誘って、「人生フルーツ」という

ドキュメンタリー映画を観てきました。

↓ 映画パンフレットより

冒頭の言葉は映画の中でも、樹木希林さんのナレーションで語られていますが、

夫の津端修一さんは建築家。

建築家アントニン・レーモンドに師事し、レーモンド事務所後は

かつての日本住宅公団にお勤めだった方。

東京では「阿佐ヶ谷住宅」「多摩平団地」などを手がけられ、

その後愛知県の「高蔵寺ニュータウン」のマスタープランに関わります。

そこでは当時としては画期的な、土地の起伏も利用し風の通り道になる雑木林を残し、

人間らしい暮らしを彩る配置計画がなされていたそうです。

ですが、時は東京オリンピックを控えた高度成長期(今の朝ドラの世界ですね)。

津端さんの想いとは裏腹に、従来通りのいわゆる「団地」として建設されます。

それを境に建築設計の仕事からは距離を置かれ、大学教授としての道を歩み、

ご両親が津端さんと暮らそうと購入された、

高蔵寺ニュータウンの一画の土地を譲り受けて自邸を建てます。

雑木林が失われてしまったニュータウン内の、自らの敷地内に雑木林を作り、

妻の英子さんがキッチンガーデンを作りました。

そこから40年。

夫の修一さんは90歳。妻の英子さんは87歳。

雑木林は立派に育ち、キッチンガーデンの野菜や果樹を育てながら、

日々の暮らしを紡ぐ姿を追っています。

 

残念ながら私はこの映画を知るまで、建築家としての津端さんのことも、

半自給自足の生活を送られている、お二人のことも存じ上げませんでした。

ただ、「阿佐ヶ谷住宅」の存在は知っていて、

結婚後に杉並区在住だった時期があったため、毎朝自転車で阿佐ヶ谷住宅の

敷地内を抜けて通勤していたことも。。。

樹木の育った阿佐ヶ谷住宅は隣棟間隔が広く、とても気持ちの良い団地でした。

閉鎖される時には、団地内で行われた企画展に私も足を運び、

無くなることを惜しみましたが、その設計者が津端さんだったことに

驚きと、そして納得もしたのでした。

 

著書も何冊かあり、私が読んだのはこちら↓

本を読むより、映画を観てからの方がより伝わりやすいかもしれませんが、

単なるスローライフという言葉で置き換えては欲しくない、お二人の生き方、その人生観に感動しました。

 

3食と10時と3時のおやつの時間を大切にし、

その口に入るものを、丁寧に育てる。

日々を淡々と、そして単々と。

四季を感じる雑木林と共に。

飽きることなく。

暮らす。

 

単調な日々の積み重ねを

幸せと呼ぶのなら、

それが宝物であり、宝石であり、

巨匠コルビュジエは、住まいとは日常を包み込むものであると

考えていたのでしょうか。

津端さんご夫妻の暮らしを知ると、映画のキャプションにこの言葉を選んだことも

よくわかります。

そう思ったら、2011年にいいひさんと訪れた、

コルビュジエの住宅を思い出しました。

↓ サヴォア邸

また行きたいなぁ。。。

津端さんのご自宅は、師事されていたレーモンドの自邸に倣った、

木造平屋の建物。

元はアトリエのつもりだったそうです。

空を切り取る高窓が美しく、印象的でした。

 

奇しくも(という程の話ではありませんが、、、)

目黒にもレーモンド設計の教会があり、

実はその教会で結婚式を挙げた私。

感動と共に妙な親近感を覚えたのでした(単純?)。

↑聖アンセルモ教会(レーモンド事務所のサイトよりお借りしました。)

 

昨日の映画の感動が大きく、、、

映画パンフレットを読み、更に涙したため、

今日はちょっと泣き疲れ^^;デス。。。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

皆さまにとって、住まいが心地よい場所でありますよう。

 

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